【実施報告】多文化共生連続講座 第3回「多文化共生社会に生きる〜異文化間の葛藤をどのように解決していくか〜
11月28日(土)に、多文化共生連続講座全3回シリーズの最終回を開催しました。
お茶の水女子大学名誉教授で、
現在は目白大学心理学部の教授でいらっしゃる加賀美常美代先生をお招きし、
「多文化共生社会に生きる」と題し、異文化間の葛藤をどのように解決していくか
についてお話していただきました。
冒頭、当センター長の渡辺のあいさつの中でもお話しましたが、
実はこの第3回目の内容は当初、第1回目「概論」として5月に行う予定でした。
総合的な内容で始まり、次に実例「ケーススタディ」、
最後に実体験「ワークショップ」という計画でした。
ところが、コロナ禍に見舞われたことで、今年度の講座の開始が秋以降となり、
9月にケーススタディからスタートし、10月「ワークショップ」を経て、
今回11月にまとめとしての「概論」となりました。
加賀美先生は、異文化間心理学が専門で、
今回の講座では異文化間に起こる「葛藤」とその解決方法についてお話していただきました。
在留外国人が増えていることにより、
異文化が接触して「葛藤(コンフリクト)=対立、不一致」が生じやすくなっています。
その葛藤を解決するにはいくつか対処法があり、
対立を乗り越えていく「方略」について紹介がありました。
参加者はワークシートで、自分が体験したことがある「葛藤」を思い出し書き出してみました。
次に、自分のコミュニケーションのスタイル(葛藤解決方略)はどういう傾向にあるか?を分析してみました。
当てはまるものに○をつけ、回答シートで○の数の合計点を算出することで、
「人と意見が違う時の、自分の行動傾向」がわかるというものです。
( 異文化コミュニケーションワークブック, 三修社, p118~121より )
競争・共同・妥協・逃避・融通 それぞれに、いくつ○がついたでしょうか?
自分の傾向がよく分かる表となっており、
参加者皆さんは自分の結果に「やっぱりそうか」、
「この部分が多めだなあ」などという表情をされていました。
また、参加者全員の平均値も算出してみました。
加賀美先生は、
「付き合いがあるからこそ葛藤が生まれます。意見や価値観が違うことは
悪いことではありません。葛藤(コンフリクト)を恐れない様にしましょう。
コンフリクトが生じても、多様な人々と共同しながら問題を解決していきましょう」
と話されました。
また、人口比率のデータを振り返り、日本人の人口が減り、
外国人の人口が増えている世の中であることをもう一度おさらいし、
「世の中を構成する人が多様化している現状を把握し、
お互い依存関係を築きながら暮らしていかなくてはならない」ことを強調されました。
「葛藤に対する対処法はこれ!」と明確な解答があるわけではなく、
この講座で加賀美先生のお話を聞いたことや自己分析してみた経験、
また、これまでのケーススタディ、ワークショップで参考になったたこと、
そういう「経験」がこそが、我々のすぐそばにある「地域社会」の中で
役に立っていくのではないでしょうか?
浦安市国際センターの多文化共生講座がその一助になれたら幸いです。
最後に質疑応答の時間を設けたあと、講座を終了いたしました。
【参加者の皆様からの声】
・葛藤解決方略のワークシートが楽しく、勉強になりました
・統計データがあったことが良かったです
・多文化共生について振り返る良い時間でした
今年度の講座の開催は全て、感染症予防対策をとり行いました。
各回、お越しいただいた皆様、会場入り口での検温や手指消毒、
講座中の換気にご理解とご協力をいただきありがとうございました。
来年度の多文化共生連続講座もどうぞよろしくお願いいたします。
◆第1回目の「実施報告」はこちらから
◆第2回目の「実施報告」はこちらから
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