【実施報告】 【2020年10月3日(土)】多文化共生連続講座 第2回 ワークショップ「異文化理解を考える」
今年度、当センター主催の多文化共生連続講座のテーマは「多文化共生と地域社会」です。第2回目として10月3日(土)に、静岡大学名誉教授 原沢伊都夫先生にお越しいただき、ワークショップ「異文化理解を考える」を開催いたしました。
原沢先生は静岡大学で長年教鞭を取られており、専門は日本語学、日本語教育、異文化コミュニケーションです。大学内外で数々のセミナーや講演をされている中、カードゲームを使った異文化体験のワークショップが大変興味深いもので、以前それに参加した当センター長の渡辺が深く感銘を受けたことがきっかけで、浦安市での講座にお招きすることになりました。コロナ禍の中、カードゲームの形式では開催が難しくなったため、別の形式でグループワークをしながら講座を行っていただきました。
異文化を理解するには、まず、そもそも「文化」とは何なのか?を考えました。
「日本文化とは?」思いつくもの挙げました。 また、身近な事例を見ながら、それは「見える文化」または「見えない文化」どちらに当てはまるのか?を考え話し合いました。
異文化同士が接触した時に、摩擦や障害が起きることがありますが、そのほとんどが「見えない文化」に当てはまるということがわかりました。例えば、指を丸くして作るオーケーのサインを例にとると、日本では「了解」の意味が一般的です。が、他に「お金」の意味でも使います。フランスでは数字の「ゼロ」、手の向きを変えて台湾では数字の「3」。サイン自体は「見える文化」、でも、背景にある「見えない文化」すなわち「意味」が違うことで、勘違いが起こり得るということでした。
また、「異文化」の「異」とは必ずしも外国のことではなく、同じ日本人同士であっても、出身、趣味、家族構成などが違えば「異文化」だということ。そして実は、我々は日々の生活の中で、夫婦間、親子間、ご近所で、「異文化」を体験しており、「異文化間摩擦」も経験しているということでした。皆様、それぞれ思い浮かぶ場面があるようで、深くうなずかれていました。
最後に、自分はどんな「文化」から成り立っているかを考えてみるワークをしました。「私」を取り巻くもの、要素、参加者それぞれが自分のダイアグラムを作り、グループ内で自己紹介しました。共通の話題で盛り上がっているグループや、未知の分野については興味深い眼差しで聴いているグループもありました。
本来なら定員60名を収容できる研修室ですが、コロナ対策として定員を半数とし20名で行いました。当日は、センターに到着された順に着席していただくことで自然にグループ分けができる段取りにしました。各グループにファシリテーターを置かずとも、どのグループも各々がしっかり発言され活発な話し合いができていて、原沢先生も感心しておられました。
今回のワークショップで、“自分を形成している要素”を改めて考えてみたことや、自分以外は全て「異文化」だということに気づいたことで、今後「異文化」に遭遇した際に対応しやすくなったのではないでしょうか。
【参加者の皆様の声】
・講師の方の実体験や実話を聞けて良かった、また説明が大変わかりやすかった。
・グループディスカッションが盛り上がって良かった。
・異文化との接触、対処方法などを理解できたことが良かった。
・他の人との共通するサブカルチャーをみつけることが大切であることに気づけたことが良かった。
・自分の多文化ダイアグラムを作成できたことが良かった。
※講座の動画は、2021年3月31日で終了しました。
次回はいよいよ最終回、第3回目「多文化共生社会に生きる」です。
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第1回目の様子はこちらから
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