【実施報告】多文共生特別講座 サッカーから見た多文化共生 〜選手・スペイン留学・監督の経験から〜
6月26日(土)に、羽中田昌さんによる多文共生講座「サッカーから見た多文化共生 〜選手・スペイン留学・監督の経験から〜」を開催しました
羽中田さんは、ブリオベッカ浦安の監督をされていたこともあり、浦安市とご縁のある方です。
選手として活躍されていた韮崎高校時代、卒業直後のバイク事故による車椅子生活のスタート、山梨県庁9年間勤務後29歳の時もう一度サッカーの世界に戻りたいとの熱い思いからプロの指導者を目指したスペイン留学、帰国後コーチ・監督を経て現在に至るまでの「サッカー人生」を振り返りながら、“サッカーから見た多文化共生”についての講演をしていただきました。
冒頭、当センター長の渡辺のあいさつの中でも触れましたが、羽中田さんとセンター長はバルセロナで初めて会いました。サッカーの指導者を目指して留学している日本人と聞いて、まさか車椅子の羽中田さんにお会いするとは思っていなくて驚いたそうです。
サッカーボールを蹴れていたのは10年間だったけれども、そのサッカーが自分を「いろんな人との出会い」や「場所」へ連れて行ってくれたと語られました。「海外へ出ていこうと思ったのは、西洋の文化の方が車椅子の自分を受け入れてくれそうだと思ったから」。
スペイン・バルセロナの街の印象について、日本よりも多くの老人・子供・障がい者が街に出ていると感じ、また幾度となく、外国人で車いすの羽中田さんに道を尋ねてくる人に出会ったそうです。「手動式の自動ドア」のエピソードも紹介してくださいました。自動ではない“普通のドア”に、羽中田さんが近づいていくと、周りにいる人が開けてくれるそうです。街の人たちがゆったりと繋がり補い合っていると感じられ、これが街の本来の姿(共生)なのではないか?と思われたそうです。
後半は、冒頭に参加者のみなさんがクイズに挑戦し、正解の方へは羽中田さんの著書が贈られました。
その後、スペインのサッカーの歴史背景を交えながら、スペインリーグ、エルクラシコ、バルセロナVSレアルマドリードについて語られ、実際にスペインで試合会場で感じたことや思ったことを、当時書いた実際のメモからご紹介いただき、多文化共生を考えるテーマへと導かれました。
複合民族国家であるスペイン。各地域のチームの背後には独自の言語や文化を持つ自治州が存在します。スペイン代表チームを結成することは、多文化をまとめる=多文化共生を行うこと。弱かったスペイン代表を強くし、多文化共生を成功させたルイス・アラゴネス監督の功績を紹介されました。試合前のロッカールームで監督がボールを手に取り、順に選手たち全員が触って円陣を組み掛け声を上げる。ボールを使って個性を繋ぎ、この「繋がり」がのちのワールドカップサッカー南アフリカ大会でのスペイン初優勝へ導きました。
最後に「ボールが多様性を繋ぎ、みんな違うからこそ補い合う力が生まれ、チームは強くなれる、と思います。街(社会)の多文化共生で、サッカーボールに代わるものはなんでしょうか?」と、みなさんに問いかけ講演会は終了しました。
参加者の中には、サッカー経験者もそうでない方もいらっしゃいましたが、みなさまの心に残り、気づきがあった講演会となりました。以下は参加者の皆様の声です。
【アンケートより】
・サッカーからみた多文化共生のイメージがわきませんでしたが、羽中田さんの生き方、人生から学び気づく多文化共生があり大変良かった
・スペインでのコーチ修業を(車いすを使う障がい者として)志した、勇気ある行動、チャレンジ精神に感銘を受けた
・「スペインリーグの歴史」「ルイス・アラゴネスの考え方」を知った点がとても良かった
・クイズなど取り入れて、会場の一体感が感じられた点が良かった
・人は皆、性格も体力も考え方も異なるのが当然であり、統一化を目標にするのではなく、お互いの違いを補い合うことが力を発揮する決め手になる、という点が良かった。
さて、今後の予定は、7月17日(土)「国際センターフェスティバル」、また9月からは「多文化共生連続講座」が始まります。皆様のお越しをお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。
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